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最後に『ババ』を引いたのは
オーバンはラルセーのキュレーターとして、もう30年近くを研究室で過ごしている。
その技量と実績は高く評価されているものの、如何せん偏屈な性格が災いして出世とは無縁と言えた。
その点、上層に取り入るのが上手いカロンの方が、出世コースに乗っていると言えたが‥‥
「ふふん、それももう終わりだな‥‥」
静かな研究室の一角で、オーバンがふと呟く。
「あれだけの大失態だ。『大儲け』し損ねたようだしな。アルフレッドからの信任も失せただろう。まぁ、お陰でアルフレッドの『定年延長』も有り得んだろうし。その後釜に、あの小賢しいカロンが座ることもあるまい‥‥なら『次』の館長は私以外に候補者は居ないだろう。ふふふ‥‥」
そして、人目が無い事を確かめからニタリと笑う。
「全く‥‥カグラは良く働いてくれたものだ。私としても可能な限りの情報は出して『焚き付けた』つもりだが‥‥本当に、期待以上に良くやってくれたよ。感謝しないとな‥‥はははは‥‥」
「しかし‥‥本当に『2億円』で良かったんですか?」
神楽は、蛇道の喫茶店に来ていた。
「『迷惑料』とか‥‥もう少し取れたかも知れませんよ?」
恐る恐る尋ねるが。
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