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事態は3ヶ月前に急展開を迎えた。
突如、ラルセー側から『条件次第で貸し出しても良い』という連絡が入ったのだ。
帝都側は俄然、色めき立った。『これで企画展の目処が立つ』と‥‥
がしかし。『その条件』は決して簡単ではなかった。
ラルセー側の提示した主な『条件』とは、
1.リース期間は20日間とする
2.展示は飽くまで帝都美術館のみとし、他の日本美術館には貸し出さない
3.本作品の貸出交渉は今回限り
4.帝都美術館内に、ラルセー美術館を宣伝する常設ブースと事務スペースを設ける
5.絵画の梱包・運搬、据え付け・撤去及び各種警備は全てラルセー側が受け持つ
そして、
6.リース料金は、運送費・保険料等を含んで『4億円』とする
7.着手金として、1億円を先行して支払うこと
‥‥と、なっていた。
「‥‥オレも美術品のリースについて詳しいワケじゃねぇが‥‥」
『蛇道』が、運ばれてきたコーヒーを口をする。
「その絵画がいくらするか知らんけどよ、『4億円』?そりゃ少々ボッタクリってモンじゃねぇのかよ?」
「は、‥‥はい」
神楽の『震え』も、少しは収まった気がする。
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