突きつけられる『条件』

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「私も『もしや』と思って、色々とツテを当たりました。すると、ラルセーに居るキュレーター仲間から『最近、油彩用の高解像度大型3Dプリンターを購入した』という話が聞こえてきまして」 「油彩用3Dプリンター?」 「はい、3Dプリンターは樹脂を溶かして積層する機械です。この技術を応用して3Dスキャンしたデータを元に、油絵の具を微細射出して積層し、油彩画を『複製』する専用プリンターがあるんです‥‥」 その奇妙な『2つの事象が重なる事』が何を意味するかは、少し考えれば誰にでも分かる事だった。 「つまり何か? 日本に来るのは、その3Dプリンターによって印刷された巧妙な『偽物』だって事か?」 「その可能性が高いかと‥‥だからこその『警備を日本に頼まない』という条件だと思います」 「そうか‥‥嫌いじゃぁねぇな。そういう『怪しい話』はよ」 気の所為か、蛇道の表情は微かに『楽しそう』にも見えた。
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