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拾得物
「おお‥‥よかった! 間違いなく『本物』なんだな? 良かった‥‥」
そう語る口ぶりとは裏腹に。
アルフレッドの顔は、まるで苦虫を噛み潰したかのようだった。
何てこった‥‥まさか『こんな形』で『現物』が見つかるとは‥‥
これならまだ、『犯人』に50億円を支払った方がマシだったじゃないか!
だが、こうして日本警察も立ち会っている以上、ローズ保険組合に『返還された』事実を誤魔化すワケにも行くまい。
これで保険金はパァ、か‥‥
50億‥‥いや、上手く進めば100億からの儲けだったのに!
それだけあれば政界にも『工作』が出来たのだ! そうすれば美術館の職務規程を改定させて、私の定年を延長出来たろうに‥‥
いや、待てよ?
それはそうとして、何で『この絵』は此処にあるんだ? いったい誰が帝都なんかに持ち込んだと言うんだ?
すると、神楽が言いにくそうに切り出した。
「実は、この絵なんですが‥‥民間のお宅に投げ込まれていたのを、その家宅の主が発見しましてね。警察に『拾得物』として届け出られたんです。それが『この方』なんですが‥‥」
ふと見ると、神楽の横にスーツ姿の男が立っている。
蛇道だった。
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