拾得物

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「ええ‥‥私の家なんですがね‥‥宵の口に庭で何か『物音』がしましてね‥‥何かと思ったら『この絵』が、布にくるまって生け垣に挟まっていたんですよ‥‥どうも、車の荷台か何かに載っていたのが『落ちた』らしい‥‥」 そして、蛇道が警察の肩をポンと叩く。 「それで、中を見てビックリですよ。私もこの絵を見に、帝都へ来た事がありますから。まさか‥‥と思い、警察に連絡してから鑑定のために『帝都美術館』に持ち込ませてもらった次第で」 見ると、蛇道はあからさまにニヤニヤと嘲笑っているではないか。 ワザとらしい‥‥よくも、しゃぁしゃあと‥‥ カロンは怒鳴りだしたくなるのを、ぐっと堪えた。 「はい、本官がこの方から連絡を頂きました。本庁に確認したところ『極秘案件だから、すぐに帝都美術館に持ち込め』と指示されましたので」 若い警察官が、ハキハキと答える。 「で、実は此処からが問題なんです。言いにくいんですが‥‥」 神楽が続ける。 「日本では『拾得物』を警察に届けて‥‥それが元の持ち主に返還された場合、拾得者はその価値の『5~20%』を『報労金』として持ち主に請求する権利が法律で保証されているのです‥‥」 「何だって!」 アルフレッドとカロンが声をあわせる。 「『この絵の価値』は、少なく見積もっても100億円は下らないと言われています。ですから、最大は20億円という事になりますが‥‥」 気の毒に、と神楽は言わんばかりだ。     
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