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北村がそう、横やりを入れる。俺は演劇部に頼もうとは端から考えていない。演劇部の問題ではあるがこの北村が介入したら余計時間がかかりそうだ。それだけは阻止せねばならない。おそらく萌菜先輩も同じ考えだろう。しかし、こんな横柄な態度をとられるとさすがの俺でもカチンときた。カチンとは来ても何もしないのがこの俺なのだけれども。だがもし、雄清や萌菜先輩の委員会仲間のためでなければ俺はすぐにでも手を引いていたと思う。
「部長殿はここでゆっくりしているといい。ただ陽菜は借りていくぞ」
「どうぞ」
「あと、バスケ部のマネージャーさんも来てくれ」
萌菜先輩は陽菜とバスケ部のマネージャーを外へと連れ出した。あんな息の詰まるようなところにかわいい後輩を置いておきたくないと思ったのだろう。
「それで、萌菜先輩、どっから聞き込みに行きますか?」
俺は萌菜先輩に尋ねた。
「コルクボードを運んだのだとしたら、校舎にだろう。体育館の出口から校舎に行くまでのルートに沿って聞くのが妥当じゃないか」
と萌菜先輩は答える。
「なるほど。ではサッカー部員が何か見ているかもしれませんね」
雄清がそういう。
「そうだな。聞きに行こう」
そうして、俺たち五人はサッカー部が練習しているところへと向かった。
サッカー部に話を聞いても、何も情報を得られず、その後も三十分ほど聞き込みをしたのだが、どの生徒に尋ねてもみな「コルクボードを持った人など見てはいない」というばかりで特に情報は得られなかった。
調査に行き詰まりを感じ途方に暮れていたところ、綿貫に出くわした。
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