波紋

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「深山さんに、山本さん、それに萌菜さん、皆さんお揃いで、どうしたんですか?あと、後ろのお二方はどちらさまです?」 綿貫が尋ね、萌菜先輩がそれにこたえる。 「やあ、さやか。ちょっと人探しをしていてね。こちらは、演劇部員で、執行委員でもある、道家どうけ陽菜だ。それでこっちはバスケ部のマネージャーの」 名字は道家というのか。そういえば聞いていなかった。マネージャーの名前は萌菜先輩も知らないらしくそこで詰まってしまったが、 「文田博美です」 マネージャーさんが自分で言う。 「綿貫さやかです」 綿貫がご丁寧に自己紹介をする。そして、 「それで、人探しというのは、いったいどなたを探しているのですか?」 と尋ねる。 「四時ごろにコルクボードを運んでいた人を探している。一応聞くが、見なかったか?」 「見ましたよ」 「そうか、……えっ」 萌菜先輩は綿貫が見ていたと思っていなかったようで、大変驚いたようだった。 「四時頃にコルクボードを運んでいた人ですよね。見ました」 「どっちに行ったか分かるか?」 俺はすかさず尋ねる。 「えっと、私が東階段を降り終わったところですれ違ったので、保健室に行かれたんだと思います」 「ほかに何か、なかったか?時間を聞かれたとか」 俺は続けて尋ねる。 「ええ、確かに時間を聞かれました。深山さんどうしてわかったんですか?」     
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