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「演劇部のマネージャーさんから頼まれて仲裁に入ってほしいと言われたんだけど、何も聞いてないのかしら?」
その部長は、先ほど耳打ちをした女子生徒の方を見る。その生徒(多分マネージャー)はうなずく。そして、マネージャーに向かって演劇部部長は尋ねる。
「なんで部外者を呼んだのよ」
「だって」
「執行部ではなく、風紀委員が介入したら、演劇部は活動停止。発表会前のあなたたちにとってそれは一大事よね。そうでしょう、マネージャーさん」
「はい」
「でもわざわざ執行部を、呼ぶ必要ないじゃない。犯人はもう出ているんだし」
「部長さん、お名前は確か、北村さんでしたよね」
「ええ」
「北村さん、それはフェアじゃないわよ。彼女弁護人もいないでしょう」
「弁護人なんて馬鹿らしい。答えは明確よ。そこの一年生が私の鞄を隠した。それ以上でもそれ以下でもないわ」
マネージャーが北村にまた耳打ちをする。
「部長、あまり執行部にたてつくと、後々困りますよ」
「何言ってんのよ、みんな女傑、女傑って囃し立てて、馬鹿みたい。どこが怖いのよ」
全部聞こえているんだが。
俺は恐る恐る萌菜先輩の方を見る。恐ろしいほどににこやかな顔をしている。この人は本当に怖いんだぞと北村に怒鳴ってやりたい。
マネージャーはめげずに説得を続ける。
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