流れゆくもの

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「ちょっと!あんたは誰かい?そんなところにいると風邪ひくよー!こっちにおいで!何だい?キレイな子じゃないの!行くとこがないならウチに来て働いてみないかい?」 女将さんだと言うその女性は自分にこのままこの場所で働いてくれと言う。 自分は記憶もないのに?もちろん名前もない。 どこやらここは、吉原という名の場所だと言う。 「あんた名前は?口が聴けないの?歳はいくつ?」 「あっ、あのっ、き、記憶がないのです。」 「そうかい。だったら記憶もそのうちに戻るさ。あんたならきっとうまく働けるさ。キレイな子だねぇー。名前ならわたしが付けてあげるよ。幸せになれるように……。幸子っていうのはどう?いい名前だろう?」 「あっ、はい。いい名前です。こ、ここで働きます。」 これからずっとここで働くことになるようだ。 着物を着るらしい。そしてお化粧して、習い事や、お酒を飲んで、お客様を楽しませる仕事らしい。
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