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由奈は自分からは純也さんのことを切り出さない。
それはおそらく、
私のためにいつまでも待っていてくれるつもりなのだろう。
いつも受け身の私が自分で切り出すのを待っている。
やっぱり夕べ、
由奈にはあの電話でほとんど伝わっていたのだろう。
私はただ由奈に話すことで、
自分の気持ちを確かめたくて、
認めたくて、
間違っていないかを教えて欲しかった。
私の気持ちは短い単語を2、3個並べれば表現できる。
なのに、その短い単語がなかなか口から出てこない。
その短い単語がどこまでも遠かった。
親友と部屋で二人。
沈黙が続いて、
由奈がほうじ茶を冷ます息の音だけが聞こえていた。
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