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私は熱い湯のみを両手で包んで口に運んだ。
ただ自分の気持ちを伝えることにこんなにも時間がかかるなんて、
私はどうかしてるんだろうか。
言葉より先に涙が出てきてしまった。
涙は一筋流れ落ちると、
堰を切ったように溢れ出した。
なかなか止まらない涙に私は苛立ったが、
由奈は辛抱強く私を待っていてくれた。
どれくらい泣いていたのか、
心がスッと軽くなる瞬間があった。
しゃくりあげていた呼吸が少しずつ落ち着き始めた時、
それまで黙っていた由奈が口を開いた。
「……自分の気持ち。その涙の分だけ溜め込んでたんだよ。鈴……辛かったでしょ」
由奈の声は震えていた。
私は目を閉じて何度も何度も深呼吸を繰り返した。
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