片想い

18/25
前へ
/25ページ
次へ
健吾くんの声が聞きたい。 健吾くんと一緒にいたい。 健吾くんに会いたい。 私の隣では 私の親友が 私と同じくらい泣いていた。 「……遅いよ。遅い。もっと早く気付きなよ」 「……ごめん」 「私に謝ったってしょうがないでしょ。鈴が謝る人は私じゃない。鈴……。鈴が自分の気持ちに正直になったことはすごくうれしいけど、今までそれを隠してきたことで、すごく傷付いた人がいるってこと、忘れちゃだめだよ。謝りなよ。いっぱい謝って許してもらえなくても、それで前に進みなよ」 由奈は涙を拭いて笑った。 由奈は何かに包んだものの言い方はしない。 親友の言葉は私の胸にきつく刺さった。 「……うん」 由奈がほうじ茶を口にしたのを見て、 私もぬるいほうじ茶を飲んだ。 カラカラに乾いた喉にほうじ茶が染みて、 心のひび割れにも染みていった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

168人が本棚に入れています
本棚に追加