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健吾くんの声が聞きたい。
健吾くんと一緒にいたい。
健吾くんに会いたい。
私の隣では
私の親友が
私と同じくらい泣いていた。
「……遅いよ。遅い。もっと早く気付きなよ」
「……ごめん」
「私に謝ったってしょうがないでしょ。鈴が謝る人は私じゃない。鈴……。鈴が自分の気持ちに正直になったことはすごくうれしいけど、今までそれを隠してきたことで、すごく傷付いた人がいるってこと、忘れちゃだめだよ。謝りなよ。いっぱい謝って許してもらえなくても、それで前に進みなよ」
由奈は涙を拭いて笑った。
由奈は何かに包んだものの言い方はしない。
親友の言葉は私の胸にきつく刺さった。
「……うん」
由奈がほうじ茶を口にしたのを見て、
私もぬるいほうじ茶を飲んだ。
カラカラに乾いた喉にほうじ茶が染みて、
心のひび割れにも染みていった。
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