片想い

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この日の夕飯はロールキャベツ入りのシチューにした。 由奈は料理が得意なので、 私は材料だけを買い揃えて由奈に甘えようと思っていたのだ。 しかし、由奈は妊婦だ。 私がやると言ったが由奈は私には任せられないと言い、 キッチンに立った。 由奈の手際には感心する。 「すごいなぁ」 「別にすごくないよ。これから主婦だからね」 由奈はそう言いながら玉ねぎを高速でみじん切りにした。 私はその横で拍手を送り、 キッチンはクリスマスパーティーみたいに賑やかになった。 由奈の横顔は幸せそうだった。 私が結婚して母親になるのは何年先のことだろう。 何年先でもいい。 何年でも。 それが 私の心から想う人となら…… 私は幸せ。
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