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妊婦になった由奈のために、
今日はしっかり布団を敷く。
あまり夜更かしするのもよくないだろうと、
早めにお風呂も済ませていた。
パジャマ姿で立ち上がった由奈が、
カーテンに手をかけて窓の向こうを覗いた。
「今日は雪、降ってないね」
「そっか。昼間は晴れてたしね」
「早く春にならないかな。もう……冬はこりごり」
由奈の言葉に何かを感じながら私はゆっくり答えた。
「春が……待ち遠しいね」
「おやすみ」
部屋の明りをオレンジ色の豆電球だけにして、私たちは布団に入った。
明日という日が
怖くもあり、
待ち遠しくもあった。
待ち遠しいなんて発想は、
隣に由奈がいなければ浮かぶはずのないものだった。
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