第2章 拓也の事件

2/15
前へ
/222ページ
次へ
2021年4月事件の日 キッカケは一本の電話だった。 日曜日の朝、自宅で寛いでいた拓也の携帯が鳴った。 それは休日出勤をしている父からだった。 拓也の父、坂本浩二は安曇航空機の社長を務めていた。 5歳で母を亡くした拓也は父との二人家族であったが、父はいつも多忙で殆ど家には居なかった。 この日も、父の浩二は休日出勤で安曇航空機の茨城事業所に出社していた。 「拓也、天草のお爺さんとお婆さんが交通事故で亡くなった。私は今から社有機で天草に向かう。お前もすぐに準備をして羽田空港に来なさい。茨城空港から一旦羽田に降りて、お前を拾って天草空港に向かう。羽田でのピックアップ情報は後でメールを送る。急いで!」 それは、一方的な電話だった。父の慌てぶりが目に浮かぶようだった。 拓也は急いで制服に着替え、父の実家で数日滞在できるだけの荷物を準備した。 そして、タクシーで羽田空港に移動した。 父のメールによると第一ターミナルの出発階車寄せで日本アビエーションサービスの担当者が飛行機まで案内してくれるとの事だった。 タクシー運転手に伝えて羽田空港第一ターミナルに向かった。 タクシーを降りると黒いスーツを来た女性が拓也を迎えてくれた。     
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加