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2021年4月事件の日
キッカケは一本の電話だった。
日曜日の朝、自宅で寛いでいた拓也の携帯が鳴った。
それは休日出勤をしている父からだった。
拓也の父、坂本浩二は安曇航空機の社長を務めていた。
5歳で母を亡くした拓也は父との二人家族であったが、父はいつも多忙で殆ど家には居なかった。
この日も、父の浩二は休日出勤で安曇航空機の茨城事業所に出社していた。
「拓也、天草のお爺さんとお婆さんが交通事故で亡くなった。私は今から社有機で天草に向かう。お前もすぐに準備をして羽田空港に来なさい。茨城空港から一旦羽田に降りて、お前を拾って天草空港に向かう。羽田でのピックアップ情報は後でメールを送る。急いで!」
それは、一方的な電話だった。父の慌てぶりが目に浮かぶようだった。
拓也は急いで制服に着替え、父の実家で数日滞在できるだけの荷物を準備した。
そして、タクシーで羽田空港に移動した。
父のメールによると第一ターミナルの出発階車寄せで日本アビエーションサービスの担当者が飛行機まで案内してくれるとの事だった。
タクシー運転手に伝えて羽田空港第一ターミナルに向かった。
タクシーを降りると黒いスーツを来た女性が拓也を迎えてくれた。
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