第2章 拓也の事件

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父が一緒に搭乗している方を紹介してくれた。 「彼女は、副操縦士の土井瑞穂君だ、キャビンアテンダントも兼ねている」 拓也が頭を下げた。 「君が拓也君ね。お父様よりもイケメンね。天草までよろしく」 そう瑞穂は拓也に言った。 そしてコックピットの左席に座っている、もう一人の乗員を父が紹介する。 「機長の小笠原君だ」 その男性は振り返りにっこり笑った。 「小笠原です。拓也さん宜しくお願いします」 拓也は、宜しくと短く応えた。 「社長、それでは出発します」 「了解だ。小笠原君、宜しく」 「土井君、席に着いてくれ。離陸準備に入る。社長、拓也さん。席に着いてシートベルトをお願いします」 拓也は頷くと浩二と一緒に席に着きシートベルトを締めた。 コックピットへ続くドアは解放されたままだったので、拓也からも離陸準備の様子が良く見える。 瑞穂さんが右席に着くとヘッドセットを被った。 「それじゃ、土井君、管制承認をもらってくれ」 「了解です。Tokyo Delivery, JAAZM01, Request Clearance」 残念ながら管制側の声は聞こえない。 「JAAZM01, To Amakusa, Flight level 420. Spot N4B…. Standing By」     
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