第2章 拓也の事件

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瑞穂が言った。 「OK、社長、拓也さん。もう一度、シートベルトを確認ください」 小笠原機長が振り返って言った。拓也はもう一度頷いた。 小笠原がスラストレバーを前に押すと離陸走行が開始された。 拓也にとって、初めてのビジネスジェットでのフライトだったが、その加速力は旅客機にはない強烈なものだった。 「80ノット」瑞穂が声をかける。 「チェック」小笠原が確認した。 「V1…VR」 その声に合わせ小笠原が操縦桿を引いた。 コックピットのウィンドスクリーンに真っ青な空が見える。 「ポジティブクライム」 「ギアアップ」 ガルフストリームは着陸ギアを格納しさらに加速していった。
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