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ガルフストリームは、航空路Y20を飛んでいた。丁度、本州を離れ玄界灘上のウェイポイントKIRINをEBISUへ向かって飛行していた。
それは突然起こった。
席に着いて本を読んでいた拓也は、銃声を聞いて顔を上げた。
コックピットを見ると、右席の瑞穂が左席の小笠原のこめかみに銃口を当てていた。
小笠原は頭から血を吹いて、声を上げることなく絶命している。
拓也の横に座っていた浩二が声を上げる。
「土井君、何をしてるんだ!!」
そう言いながら、浩二はシートベルトを外し立ち上がった。
「社長、申し訳ありませんが、おとなしくシートに座っていてください」
瑞穂は銃口をこちらに向けながら副操縦席から立ち上がって客席に歩いて来た。
浩二は、その場に立ち止まったが、席に腰を降ろす事はなかった。
「今から低高度まで降下するので、携帯の受信範囲に入ると思うの。だから二人が持っているスマホを私に渡して下さい。外と通信されると困るので・・」
瑞穂は右手で銃口を構えながら左手を伸ばして来た。
拓也は何が起こっているのか分からず混乱していた。
「土井君、君の目的は何だ?」
浩二のその問いに瑞穂が答えた。
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