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「詳細はお答え出来ません。ただ狙いは拓也君の持っているもの。また、このフライトの目的地はここから北方の国になります」
浩二が目を見開いている。
「お前、あちら側の人間か? どうやって拓也の秘密を・・」
瑞穂が意地悪そうに微笑みながら言った。
「社長、この秘密を彼の国は2年前に把握し、綿密な奪取計画を立案してきました。私が安曇航空機に雇用されたのもそうですし、あなたのご両親が交通事故に遭われたのも私達の計画に基づくものです」
「私の両親に手を掛けたのか・・そして拓也を奪うつもりだと! そんな事は・・」
銃声が響いた。
瑞穂が二発目を発砲して、その弾丸は浩二の腹部に撃ち込まれた。
浩二がその場にうずくまる。
「社長、今回の目的は貴方でなく拓也君ですから、抵抗される場合は射殺することになっていました。申し訳ありません。さあ拓也君、スマホを渡して」
拓也は目の前で父が撃たれた事がまだ現実とは思えなかった。
ただ、銃口を向ける瑞穂に逆らう事は出来ず素直に従うしか無かった。
「いい子ね。それじゃ、そのまま座っていて。目的地に着くまで騒がない様にね」
そう言うと、瑞穂は倒れた浩二の上着のポケットからスマホを取り出すと、コックピットに戻って行った。そして副操縦席に着くと、拳銃はコックピット前のグレアシールド上に置いた。
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