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それも中澤遥は、
成績はトップ(基本全ての科目で満点)。
テニスの県大会で準優勝する程のスポーツ万能。
そして誰もが認める学校一の美少女だった。
そんな彼女が突然F組に現れれば、全員の注目が集まるのは当たり前だった。
遥は教室に入ると一瞥をして、意を決して奥に歩き始めた。
そして何故か拓也の机の前で止まった。
その時、初めて拓也は遥が自分の前に立っているのに気づいた。
「えっ?」
拓也が見上げると、遥が大きな目で彼を見ている。
一度、止まったザワメキがまた始まる。
「何? どうして中澤さんがあの“お拓也”に用があるの・・?」
そこら中で声が上がる。
遥が話し始めた。
「坂本拓也君。私は中澤遥」
(もちろん知っている・・)拓也は心の中で思った。
「好きです。私と付き合ってください。お願いします」
遥が頭を下げる。
「えっ?」
拓也は首を傾げた。何が何だか・・?
「今日、デートしましょう。駅前のカフェで放課後待ってるから、必ず来てね」
そう言うと遥はあっという間にF組を出て行った。
クラス中から叫び声が上がった。
「えー!! 何で?? あの、おたくと???」
その日、F組は授業にならなかった。
誰もが、ずっと囁きあっていた。
そして放課後になった・・
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