第4章 安曇電気研究所

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拓也は、そのヘリポートに向かって徐々に高度を下げ、ヘリパッドの真ん中にヘリを着陸させた。エンジンを停止すると、30秒程でロータも停止した。 程無く、ヘリポートの横に停まっていた車から女性が降りて、こちらに向かって来る。 拓也と遥はヘリから降りて、その女性を待った。 その女性は二人の前に到着すると、大きく一礼して話し始めた。 「中澤遥様、坂本拓也様、お疲れ様です。私は安曇電気、安村副社長秘書の寺崎と申します。副社長の指示でお二人を副社長のお部屋にお連れ致します。それではこちらへ」 二人は寺崎に続いてヘリポートの外の車まで歩き、彼女に促され車の後席に乗った。 寺崎が運転席に座ると車は走り始めた。 「この研究所は、安曇重工の材料・宇宙技術開発研究部と安曇電気のソフトウェア・ゲーム開発研究部が合同で入っています。寺崎副社長はこの厚木研究所の事業所長も兼務なさっています。特に安曇電気は現在、ゲーム開発に大きなリソースを割いておりまして、ゲーム開発を専門に行うゲームR&D棟を今年、新設しました。地上9階、地下2階、総床面積は32万平米を誇る、日本一のゲーム開発センターだと自負しております」 車は研究所内の2車線の道路を進んでいた。 左右に幾つかの建物が並んでいるが殆どが3階建程度だ。前方に一際高い建物が現れた。 「あれが、ゲームR&D棟です。安村副社長のお部屋もこの建物の中にあります」
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