第1章 突然の告白

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「それじゃ、6ゲーム1セットを先取した方が勝ちでいい?」 テニスコートに移動して遥が言った。 拓也は頷いた。そして思った。 (多分、俺は1ゲームも取れないと思うけどね) 「サーブ、レシーブ、エンド、決めていいわよ。これだけはハンデね」 拓也は溜息をついて首を振った。 「それじゃ、レシーブで。エンドはどっちでもいいや」 「ふーん、サーブじゃないんだ・・やっぱりね・・」 コートを分かれて拓也は再び溜息をつきながら構えた。 テニスをやるのは本当に1年半振りだった。 身体はすっかり鈍って・・ 遥がサーブに入った。 「しかし、あいつ。どう言うつもりで・・」 遥がトスアップしている。 「仕方ないな・・ 久し振りに真面目にやるか・・」 と拓也が言った瞬間、遥のサービスがライン際ギリギリに物凄いスピードで突き刺さった。 拓也は、動く事も出来なかった。予想通りのサービスエースだ。 「フィフティーンラブだね・・」 遥が微笑みながら言った。 拓也が不満の声を上げる。 「お前、素人相手に、そんな本気なサーブするなよな」 拓也のその言葉を無視して、遥が、またトスアップする。 「本当は、素人じゃ無いで・・しょ!!」 また、同じ速さでラケットが振り降ろされる。 「あいつ、手加減を知らない・・」 拓也は両目で遥が振り降ろしたラケットとボールの軌道に集中した。 身体が勝手に動き、足がコートを蹴った。 そして、さっきと同じコースとスピードで跳ねたボールをバックハンドで打ち返した。 ボールは遥のコートに突き刺さった。 遥が目を見開いて拓也を見ている。 「フィフティーン フィフティーンだね」拓也は言った。 遥は首を振っていた。 「やっぱりね・・でも、ここまでとは・・」
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