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第2章 拓也の事件
2022年10月
横浜インターコンチネンタルホテル
ロイヤルスイートルーム
「私、あなたの本当の姿知ってるわ。高校の入学試験は首席で合格。だから次席の私と一緒に新入生代表したのよね。テニスは中学校の関東大会で優勝した。そうでしょ?」
隠していた自分の過去を遥に触れられ、拓也は目を見開いて彼女を見た。
「私はあなたの事、中学時代から知っていて、ずっと憧れていた。だから好きだって言った言葉に嘘は無い。だけど、あなたの今の姿が実力なのか、仮面を被っているだけなのかを知る必要があった。だから、テニスの試合をしてもらった」
遥は淡々とそう話した。拓也は思った。
(遥は、俺の中学時代を知っているんだ・・ だからか・・)
「あなたは高校に入学してすぐに、お父様を亡くし天涯孤独となった。そして突然ゲームオタクになった」
(この娘はどこまで知っているんだ?)
「私は何故あなたが変わってしまったのか? その理由が知りたかった。でも最初は、まったく何の情報も無かった。でもある情報ソースに出会って、あなたに起こった事を知る事が出来た。”あの事件”の事も」
拓也は天井を見上げた。遥は俺の過去を知っている・・
「そうか、君は”あの事件”の事も知っているんだな」
拓也の頭に、あの日の記憶が蘇って来た。
それは文字通り、拓也の人生を大きく変えた。
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