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その紙の束は彼女の、エルビーの素性を調べ上げた報告書だった。
表紙に書かれた丸にパイプの印からみるに私立ギルドだとわかる。これはギルド協会に比べ料金や依頼者が安定しないがその分、協会より優れた特技や協会では依頼できないことを依頼できるという利点があるもの。
今回はムシュドでも有名な情報収集を得意としたギルドベイカーズ。主に身辺調査などをやるギルドで構成員はストリートチルドレンから大きな店の従業員と半端じゃないほどの情報網を有するギルドだ。
これを見るにエルビーはもうエルフィが自分の生みの母だということを知っていると思う。これにはご丁寧に父親と思われる人や里親に出さないといけなくなった理由まで明記されている。
これはほんとによく調べられていてすごいと思う。
「ほぉ、よくここまで調べ上げてるな。さすがわって感じだな」
「トモマサは知ってるの?」
「たんとなく。ギルド名とその印、それにトップがウィンギスだから多分俺と同じ世界、もしくは似たような世界出身なんだと思って」
「どうしてそう思うの?」
「ベイカーでパイプでウィンギスならわかるやつはわかるよ」
「へぇ、そんなに有名なんだ」
「まぁあな。それは置いといて、見つかったか?」
「いや、全然」
「どうするよ」
「とりあえずそれそろ昼休みになるし、撤退しよう」
「了解」
ボクたちは速やかに部屋を後にした。
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