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第二十五章~調査対象フォルトとエセキエル~
霧深い渓谷にあった洞穴の奥。そこに焚火をしているとアユが来た。
「もうなんなのあの女!」
「どうしたの?」
「家に帰るなり移転して! どこ行くんかと思えば拠点じゃない! それに、追いかけようにもここは移転しづらいじゃない!」
「あぁ、すまん。それはこれが原因だ」
トモマサは本当に申し訳なく右手首を持ち上げた。
「はぁ報知魔法ね。それでここなのね。でも、これからどうするの?」
「ん~、ちょっといいかな?」
ボクはカバンに入れていた手拭いを出すと人差し指を軽く切り、その血で魔方陣を描いた。
「ごめんね。書くものがなくて汚いけど、効果は強いから。これを覆うように巻けば遮断してくれるはずだよ」
そういい固めに鎖の上から括り付けた。
「すまんな」
「いいって。それじゃあ今後のお話をしようか」
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