石川幻慈さん

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運転手が担任の女教師にそう言って、外に出てバスのエンジンを見ようとエンジンルームを開けると、煙がたっていた。 「なんだよぉ~」 「俺、ションベンして来よう」 「俺も」 そう言って男子生徒たちは森の少し入った所に用を足しに行った。 「あまり遠くに行かないように」 担任の先生が出て行く男子生徒にそう声をかけていた。  バスの中ではそわそわしている女子生徒がいる。 「どうしたの? 」 「トイレ行きたくなっちゃった。まだかなぁ~目的地までどれくらいかかるんだろう? 」 モゾモゾしながら、隣の女子生徒に聞いていた。 「まだ1時間ぐらいかかるんじゃない」 「うそ! 我慢できないよ」 モゾモゾしながら困った顔で周りを見渡していた。 「してきたら」 そんな簡単にという顔で驚くけど、このままだと・・・。 「無理だよそんなの! 男子じゃあるまいし・・・」 セブンティーンの年頃の女の子。そんな事できる訳もない。だってトイレがないんだから。それって・・・。 「だったら森の奥の方に行ってしてきたらいいじゃん。だれも来ないよ」 「そうかな・・・でもそれも嫌よ」 森の奥とはいえ、それって・・・したいのは小だけど、でもそういう事。 「だったら、我慢したら」 「ううんんん」 でも背に腹は代えられない。その為立ち上がって用を足しに向かった。 「やっぱり行ってくる」    外は小雨が降っていた。森を少し入ると男子生徒たちが並んで用を足していたので、1人の男子生徒が気づき、その女子生徒を冷やかした。 「おい、見に来てるんじゃねぇ! ドスケベ」 「ハハハハハハハ」 男子生徒たちに笑われながらも女子生徒は目をそらし、奥へと走っていった  奥に行くと、そこには似つかわしい社殿が広がっていた。 「え・・・こんなところにお寺があったんだぁ~よかった・・・」 その女子生徒は一瞬安心したが、やっぱりおかしいと思って周りを見渡した。 「あれ・・・? 」 こんな森にあるのもおかしい。それにお寺に絶対あるものがないのだ。そう鳥居である。でもそんな事を考えている暇はない。 「ヤバイぃ! 」 女子生徒はお寺の扉で、 コンコン とノックしたが・・・だれも返事はなかった。 「すいません! 」 ・・・しかし返事はない。  勝手に入るのは気が引けるが、もう我慢できないので、 「失礼します! 」
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