石川幻慈さん

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女子生徒はそう言って入ると、前にはすごい怖い顔した仏像が並んでいたが、とにかくトイレを探したが見つからない。でも女子生徒はすぐに気が付いた。恐らく最近の子なら気がつかないだろうが、昭和30年代は外にトイレがあったりするのは当たり前だったのだ。  女子生徒は長い廊下の向こうにある裏手の扉から外に出ようとした時だった。 ガターン 「キャー! 」 なんか音がした。音がしたのは先ほどの本堂の方である。  女子生徒は恐る恐る戻って本堂を見ると、 「キャー! 」 怖い顔が見えたので隠れたが、あれは違う、仏像である。だからもう一度戻って本堂に入って行くと、たくさんある仏像の横に扉があったので入って行くと、そこに小さなお宮があった。 「うん? 」 なんだと思って近づくと、お宮がいきなり、 ガタガタガタガタ 「キャー! 」 いきなり激しく揺れだしのである。  そして次の瞬間、お宮の扉が開きすごい風がお宮の中へと吸い込もうとしていた。 ビューン 「南妙惚蓮華蔡豪連山・・・」 というお経のような念仏までも聞こえて来た。 「な・・・なにこれぇ・・・! 」 とにかく女子生徒は吸い込まれちゃいけないと逃げようとするが、すごい勢いで吸い込まれそうになる。なんとか扉の縁に掴まって吸い込まれないようにしたが、勢いは止まらない 「南妙惚蓮華蔡豪連山・・・」 お経が耳に付くぐらい大きな音で聞こえて、 「あ・・・」 扉の縁に掴まっていた手が外れて、お宮に吸い込まれそうになると、 パシ 「え? 」 誰かが私の手を握った。誰かと思い見上げるとそこには長い髪が顔の前にかかって顔が見えない。そしてのその髪の間から、見開いた不気味な目が見えたので、 「うわぁ! 」 なんとか逃げようともがいていると、 「何をしているんですかぁ! あれほど遠くに行かないように言いましたよねぇ! 」 その長い髪の人は手でかぎ分けて顔を出した。それは担任の女教師だった。 「早く行きますよ」 そう言われて、女子生徒は先生に手を引かれてバスに戻った。  戻る途中後ろを見ると、先程の社殿はなくボロボロの小屋が立っているだけだった。  そしてその日の夜、女子高生が眠りにつくと、そこは霧のかかった森だった。 「どこここ? 」 夢だと思いながらも、森をウロウロしていると、 トン・・・トン・・・ と杖の音が聞こえた為、立ち止まった。そしてその音は、 トン・・・トン
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