石川幻慈さん

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そう言って恋美がふて腐れるので時子と徳代はもっと笑い、瑠梨は普通に謝った。 「恋美ごめん」 そう言って恋美を使って遊んで世は更けていき、みんなで布団をひいて眠りにつこうとした。 そうしたら・・・。  都内にある警視庁の資料ファイルが多く並んだ書庫で、平川は橘がまとめた資料を見ていた。  ファイルの資料にはこう書かれていた。 『石川幻慈さんという若者の間で話題になってきている怪談話は、昭和37年に起こった京都の女子高校生突然死事件を模倣している。当時、京都の高校2年生だった平田美知子は校外学習に行った次の日の朝、起きてこない娘を心配した母親が起こしに行くと死んでいたのだった。当時の鑑識の結果では死因は不明で、自殺とも他殺とも、病気や心臓発作のあらゆる可能性を模索するもすべて不明で終わっていのだった。そんな50年以上も前の話を若者たちは、石川幻慈さんに殺されたという怪談話として話されているのだ』 そんな資料を読んでいると、タバコの煙がぷかぁ~と浮かび上がってきた。 「俺が知っている石川幻慈さんの怪談話をしていた思われるのは76人。生き残ったのは足利涼子1人のみだ」 その煙の後から橘がタバコをふかしながら入って来たので、平川が橘を見た。 「ここは禁煙だぞ・・・って言ってもおまえが守る訳がないが」 平川が一応注意するも聞かず、またもタバコをぷかぁ~とふかしながら話を続けた。 「足利涼子のみしか助かっていないのだ」 橘はもう3㎝ぐらいしかないタバコをまだ吸っていた。平川は資料を見ながら答えた。 「すべて同じような事件だが、すべてが同じとは限らん」 そう言われると橘は短くなったタバコを見て、携帯灰皿を取り出し、やっと火を消した。しかしすぐさまぐちゃぐちゃとポケットをあさり、くしゃくしゃになったタバコを1本取り出して口にくわえてライターで火をつけようとするがつかず、何度も何度もカチャカチャとつけようとしていた。 「俺も最初はそう思ったんだ。でも足利涼子の話を聞いて、この事件にすべて同じだと気がついたんだ」 やっと火がついた橘はタバコをぷかぁ~とふかすと、その煙が平川に当たった為、手で払いのけながら資料に目を落とすと、『都市伝説情報サイト』と書かれていた。 「もう眠れないよ」 恋美たちはリビングに布団をひいて寝ようとしていた。時刻は深夜2時を回ろうとしていた。 「だから恋美、嘘だって言ったでしょう」
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