石川幻慈さん

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「石川幻慈さん成仏してください! 石川幻慈さん成仏してください! 」 バタン 「ええ! 」 小雨が降り、強い風が吹き荒れる深夜0時。 リビングで5人の女の子が電気を消して、ロウソクをつけて念仏を唱えると、1人の女の子以外がその場に倒れた。 「ちょっと! みんなどうしたの! 」 1人の女の子だけは、倒れた他の女の子を見ながら泣き叫んでいた。  次の日の朝8時ごろ。住宅地は風が吹き荒れゴミが飛んでいた。そのゴミにカラスがせせり、中から生ごみを出そうと突っついていた。 ウウウウウ と、サイレンと共にたくさんパトカーが走って来たので、カラスは飛び立って逃げて行った。  たくさんのパトカーは、赤い屋根の家の前に停まり、車のドアを開けると30手前ぐらいの刑事が、手のひらサイズはある大きなおにぎりを食べながら運転席から出て、助手席からはタバコを吸った40過ぎぐらいの汚らしい刑事が出て来た。2人は警察官という服装ではなくクールビズのサラリーマンみたいな格好していた。でも警察である。  部屋に入り、現場検証が行われた。 「これはどういう事でしょうか? 」 若手の刑事がそう話すと、タバコを吸った汚らしい刑事は奥に震えている女の子を見つけた。  現場は4人の女の子が倒れている。それは先ほど倒れた女の子で、その奥で震えている女の子は1人だけ倒れなかった子である。 「あの子は誰だ? 大森」 タバコを吸った汚らしい刑事が、若手の刑事である大森に聞くと、 「あの子は第1発見者の子です。昨日はこの女子高生たちで集まってお泊り会をしてたみたいですよ。橘さん」 大森がそう言うと、タバコを吸った汚らしい刑事である橘はその女の子に話しかけた。 「すいません。あなたは第1発見者・・・」 ガタガタガタガタ 「キャー! 」 吹き荒れる風が窓に当たって窓が揺れたので、その女の子は悲鳴を上げてうずくまった。それを見た大森と橘は目を合わせた。 「大丈夫ですよ、ちょっと署まで来てもらって・・・」 パリーン その時、検証していた警察がバランスを崩しよろけると手に持っていた警棒が飛んで窓ガラスを割ってしまったので、外からすごい風が中へと吹き込んで来た。 ビュー 「キャー! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 その窓ガラスの音なのか、風かは分からないが、女の子はうずくまって何度も謝っていた。
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