石川幻慈さん

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 それを見た橘と大森はビックリしていたが、大森はすぐさま気を取り直し叫んだ。 「バカ野郎! 気を付けろぉ! 」 「すいません! 」 警棒を飛ばしてしまった警官を??りつけいたので、警官はすぐさま頭を下げて謝った。でもその大森に怒られた警察は、大森より10ぐらい年上のようであるが。 「“平家に非ずんば人に非ず!”と比喩されるぐらい、時は平清盛が太政大臣になり平家が日本のトップに君臨していて、平家の思うがままでした」 白山堀高校の2年3組の教室では夏休みが終わって9月に入ったのに、まだ夏の日差しが教室に差し込んですごく熱い。はっきりいって勉強なんて見に入らないという感じで、グランドばかり見ているのは武田恋美(れみ)である。  そんな恋美の後ろに座っている、恋美と仲がいい瑠梨が恋美の背中をツンツンとしてきたので後ろを見ると、小さな封筒を渡して来た。中には何か入っているのか少し膨らんでいる。 「時子から」 そう言われたので教室の真ん中の1番後ろにいる時子を見ると、横にいる徳代と共に封筒を開けてと合図を送って来たので、恋美は頷いて封筒を開けた。  封筒の中にはもう1つ封筒が入っていて、そこには“ハブの卵”と書かれていた。 「えっ・・・」 恋美はビックリして少し声を出したが、授業中なので口をすぐにおさえた。幸いその声は誰にも聞かれてはいなかった。 「平家以外は人ではないという言葉の為、平家に従っても、平家一門でしか出世できなかったそうです。また、平家の悪口を言った人は平家によって処刑されたそうです」 40ぐらいの男性の葛原先生が教科書を持って恋美の横を通ったので、封筒を教科書の下に隠した。  先生が通り過ぎるのを見て、教科書の下から取り出した。 “ハブの卵”ってなんだぁ。そういえば時子は夏休みに沖縄旅行に行ったとは聞いていた。お土産も貰ったし、そこでこんなものまで手に入れていたのか・・・。とにかく恋美はすごく怖くなり時子を見た。そしたら時子と徳代はクスクスと笑いながら、その封筒も開けろと合図を送って来た。でも恋美は嫌なので首を振った。  そうすると恋美と時子の間に教科書を読む先生が歩いて来た為、恋美は前向き時子と徳代も教科書に集中するフリをした。 「それで、この“平家に非ずんば人に非ず”と言ったのは、平清盛の妻である平時子の弟である時忠が言った言葉ですが、国平のご先祖なんだろう? 」
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