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そう先生に言われているのは時子だった。
「えっ!? あ~そうみたいです。だからおばあちゃんが私の名前を、平時忠のお姉さんの時子にしたみたいです」
そう聞くと先生はまた教科書に目をやり廊下側に歩いて行った。その為時子はまた恋美に封筒を開けるように合図してきたが、恋美は嫌なので首を振った。しかし時子は怒った顔を見せてすごく睨みながら開けと指示を出して来た。
「しかしその頃、鎌倉では源頼朝が東国の武士を率いて平家に対抗しました」
先生は教科書を見ながら廊下側を歩いていた。そして恋美はというと、ハブも怖いが時子も怖い。だから封筒を開けると、
ガサガサガサ
「うわぁあ! 」
封筒を開けるとガサガサと動いたので、ビックリして封筒を下に落とし立ち上がった。それにより先生は教科書を読むのをやめて恋美を見て教室はシーンとなった。時子と徳代はというと声を殺しながら笑っていて、廊下側の一番後ろにいた短髪目の髪の毛がツンツンした男子はすごく心配そうな顔をうかべていた。
「武田、どうしたんだ? 」
恋美は先生にそう聞かれ、
「あ・・・すいません」
そう言って、頬を赤らめながら座ったので、教室は笑いに包まれたが、その髪の毛がツンツンした男性である湊だけは笑っていなかった。
瑠梨はそれを見た後時子を渋い目で見ながら、もうっていう感じで息を吐いた。
「おい! 授業続けるぞぉ~」
先生が手を叩きながら生徒たちを静かにさせた。恋美は口を膨らませながら時子を睨むと、時子と徳代は笑っていた。
「そして源頼朝の弟である、源義経が軍を率いて、ついに平家と戦う事となります」
キンコンカンコン
その時チャイムが鳴り、先生は教科書を閉じて教卓についた。
「それでは今日はここまで。また月曜日に続きをします」
「もうやめてよぉ~そういうのぉ! 」
放課後、恋美は時子に怒ると、時子と徳代はケラケラと笑っていた。
「あんなに驚くと思わなかったしぃ~、ねぇ~徳代」
「本当にそう、こんな子供だましに驚くなんて」
その“ハブの卵”と書かれた封筒には、もちろんハブの卵など入っていない。中には丸いドーナツ型の金属がゴムで巻かれており、封筒を開けるとゴムがゆるんで金属がクルクル回るという仕組みになっているのである。それをハブがふ化したと思ってビックリするというおもちゃである。
「もういじめないのぉ~時子と徳代はそうやって恋美で遊ぶんだから」
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