ペンの魔法は

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 彼はある日突然に、秘密の場所に現れた。  街外れ、赤い巨岩の間。そこは大の男には通れず、女の中でも小柄な私や子どもだけが通れるような自然の隙間。  高くそびえる巨岩は中央辺りで雷でも落ちたように割れ、わずかな雨の浸食に形を侵された歪な形をしていた。  その岩々の隙間を、こぼれるように差し込む光の斑点を辿って先へ先へ。  細い隙間を横歩きに進み、広間のような場所へ出る。  そこが私の秘密の場所だった。私が唯一心から自由になれる場所。  なんの因果かその入り口で、タスラザンは行き倒れていた。
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