ペンの魔法は

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あなたを想って書きつづけました。でももうそれもお終いです。 あなたという翼を失くして、それでも飛ぼうとしたけれど気づきました。 私にははじめから翼はなかった。このペンは私をどこへも連れ出さない。 下手な言葉を紡ぐほど人を騙している気になるのです。 あなたに会いたい思いさえ抱くに過ぎた思いでしょう。さようなら  送るあてもない手紙。私は魔法のペンを折った。  それから半年月日が流れ、私は長い物語を書いているのだとホラを吹き、長く一人で部屋に籠った。街は私を疑いはじめ、母は私に縁談の日取りをそっと手渡した。魔法は解けてしまったようだった。  旅人の姿はとうとう夢の中でも見えなくなり、私はホラを吹く力を失くした。
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