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あくる朝、ひとりの青年がやってきて、私に用があると言う。大きな袋を背負った青年に私は見覚えすらもない。
青年は部屋に入るなり袋をぶちまけ、そこから溢れた紙きれが部屋中に嵐のように舞い広がった。
青年は言う。
私がここに持っているのは、物語の湧く魔法の紙です。
タスラザンという商人が私に託していきました。
魔法の紙はある日から日がな話を吐き出して私の部屋は毎日が物語でいっぱいでした。
ところが近頃どうでしょう。ひとつも紙は話を吐かない。最後に見たのはこの手紙。
慌てて旅に出たのです。街に嫁入りした娘が、毎日物書きするという噂を聞いて、私はここへやってきました。
私の紙に素敵なお話を贈った魔法のペンを持ち主はあなたじゃありませんか。
私はすっかり驚いて手に持っていた皿を割り、母は驚いて悲鳴を上げた。私は自分の部屋に飛び込み、折れたペンを手に取った。
だけどこれを見せたなら、あの青年は悲しむのだろう。胸がツキっと痛んで俯く。私はきっともう二度とあのホラ話を作れはしない。
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