第一章 しがみつく猿

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 その国はマンネリ化していた。もう何十年と争い事が無いから、政府は国民を適当に扱うようになった。そして、国民はそんな虐げられることに慣れきっていた。  「そういう世の中なんだ」と。  国の運営者たちが、大した力も土地も人間性も無いのに、「世界だ、競争だ」とガキのように泣き喚き、下っ端たちが国中をあくせくと駆けずり回っている。それこそ、朝も、昼も、夜も、関係ない。春も、夏も、秋も、冬も、関係ない。年中、仕事中なのだ。  それでも全く豊かにならない。それどころか、海をまたいだ諸外国に追いつかれ、追い越され状態である。おかげで世界に恥を晒し、国民の精神はボロクソになっていく。互いを憎み合い、下手したら怒鳴り合い、殺し合う。  それが今回舞台になる「ミヨ」の中身。どう?
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