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今日も、何事もなく学校生活の一日が過ぎた。帰りのホームルームが終わり、帰り支度を済ませ、真雪と一緒に教室を出た。
結局、真雪が何の記憶を失ったのか、分からずじまいだ。失った記憶について知りたいが、知ってしまいたくない気持ちもある。だから、会話するのが怖い。知らなくていいことを知ってしまいそうでとても怖い。
「……と、みなと、湊!」
そんな真雪の声で我に返った。
「あ、ごめん。なんだっけ」
「咲良に迷惑かけたお詫びをしたいから、プレゼント選びに付き合えって話だよ」
「ああ、そう」
「なんだよ、その反応。冷めてるな。で、女の子って何が好きなんだろうな。服ってのも悪くないけど、多分プレゼントにするのはそういうのじゃねえよな。もっとプレゼントっぽいやつで、実用性があるやつがいいな」
「じゃあ雑貨とかじゃないかな。最近、雑貨屋さんってよく見るし、面白いのがたくさんあると思うよ」
「さすが、湊。この辺だとどこにあるんだろう」
「駅前のデパートにあるよ。小さい店だけど」
「よし、今から行くか」
「え、今から? やめておいた方がいいんじゃない?」
「なんで?」
「来週から部活出るんだろ。無理しちゃいけないよ」「無理なんかしてねえって。……ところで、部活って、なんだ?」
知りたくないことは突然知ってしまうものだと、僕は知った。
僕は次の言葉が出なかった。こういうときに何を言えばいいのか、分からなかったからだ。ここで、本当に知らないのかと尋ねるべきか、知らないことを前提に会話を続けるべきか、ほんの数秒か、考えてしまった。
「湊? どうしたんだよ」
「えっと……なんでもないよ。雑貨屋さん、行こう」
真雪はいつもと変わらない顔をしていた。
結局どっちの選択肢も選べないまま、僕は歩くスピードを速めた。
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