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第2章 全ての始まり
西の空に少し日が傾いて、オレンジ色の光が僕たちの影を作っている。僕らの靴がコンクリートを叩く。
「なあ湊、山本のやつが変な噂流しやがってよ。咲良が新しい男作って、浮気してるとかふざけたこと言いやがって」
「山本くんは一回フラれてるからね。悔しいんだよ」
「咲良は浮気なんかしねえっての。あいつはそんな女じゃねえ!」
「僕の前でのろけとかやめてよ。僕、彼女いないんだから」
朝から続いた学校生活に疲れているが、この時間は欠かせない。
隣を歩くのは、同じクラスの河北真雪。小学校からの付き合いで、中学、高校と同じ学校に通ってきたし、三年生の今は同じクラスだ。いわゆる幼馴染というやつだ。中学校で同じ部活に入って仲良くなって、今でも一緒にいることが非常に多い。
そんな彼と過ごす帰り道は楽しい。たった十五分の道のりだけど、毎日確実にやってくる時間。特に変わったことをやるわけではないけれど、絶対に楽しい時間――。
「お前がモテないのってなんでだろうな。俺より頭良くて、顔もいいのに」
「うるさいなあ。からかうなよ」
「まあ、お前は真面目すぎるからな。勉強一直線って感じがする。部活もやってないだろ」
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