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「部活ねえ……。僕は体動かすの苦手だし、集団生活って疲れちゃうし」
「今度咲良に女の子紹介してもらおうぜ」
「いや、いいよ」
「なんでだよ。今、ちょっと彼女欲しそうだったじゃん」
「欲しいのは山々だけどさ、受験もあるし。恋に現を抜かすほどの余裕はないんだよ……って、君の方はどうなんだよ。この前の定期テスト、赤点三つもあったじゃないか。大学入試より卒業が危ないんじゃないの」
「俺、推薦だぜ」
「え、そうなの」
「スポーツ推薦だ」
「そっか、毎年インターハイ出てるもんね、レギュラーで」
「でも、一応勉強もしてるぜ。オフの日に咲良に教えてもらってる」
「咲良ちゃんの成績ってクラス三位なんだっけ」
「おう、あいつはすごいんだぜ。この前のテストなんか、数学で満点取ったんだぜ!」
そう語る真雪の横顔はとても嬉しそうだ。
「そういえば俺らのクラスって、頭いいやつ多いよな。佐藤だろ、鈴木だろ、咲良だろ。あとお前もまあまあいいよな」
「まあまあって、微妙だな」
「それになんといっても、あいつだよな。学級委員長の神崎」
「学年一位の特待生だからね。あ、僕、主要五教科全部満点だったって噂聞いたよ」
「マジか。やっぱり脳みその作りが違うんだろうな」
「真雪はどっちかっていうと考えるより先に行動しちゃうタイプだよね」
「なんだよ、それ」
今度は困ったように笑う。
「咲良ちゃんに告白したときも、なんの前触れもなく言ったもんね。いつ、どこでやろうとか考えずに」
「それ、俺がバカだって言いたいのか?」
「あれ、そう聞こえない?」
「てめえ!」
今度は怒る。
本当によく表情が変わる人だ。
しかし、僕はそれがいいのだ。ずっといても飽きない。話していられる。そして、気を遣わないから疲れない。ありきたりな言葉だけど、すごく楽しい。
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