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三日の欄に、『真雪の誕生日』の文字があった。真雪の誕生日には毎年パーティーを開いて、プレゼントを渡す。集まるのは真雪の友人をはじめ、真雪の両親や姉の知り合いが呼ばれる。もちろん僕も呼ばれる。あと二週間くらい先だが、そろそろパーティーの準備やプレゼントを選ばなければいけない。去年は練習着をあげたが、今年はいっそボールとかあげてみようか。
呑気にそんなことを考えていた――そのときだった。
キィーーーーッ!
耳に鋭いブレーキの音が聞こえた。それに続くように鈍くて重い音が聞こえた。あまりに突然のことに、僕は反射的に後ろを――真雪が帰って行った方向を向いた。とても嫌な予感がした。
振り返った僕の目に映ったのは、ボンネットが少しへこんだ車と、その目の前に倒れる制服の男の子――
「真雪!」
僕は名前を叫びながらも、彼があいつでないことを祈って駆け寄った。
腕に痣があって、体は動いていない。そして顔を見る――
「真雪――」
残念なことに、やっぱりあいつだった。
生きているのか、死んでいるのか。
腕から血が! 足からも! 顔からも!
「真雪……真雪、真雪! 真雪! 目を覚ましてよ! どうしちゃったんだよ! 目を開けて!」
きっとこういうときは一一○番通報したり、一一九番をかけたりしなければいけないのだろうが、携帯電話を取り出すほど冷静ではなかった。
しばらくして、車の衝突した音を聞いたのか、僕の声を聞いたのか、多くの人がやってきた。そしてどこからか、サイレンの音がして救急車が到着した。何人もの人が車から出てきて、真雪をあっという間に連れて行く。
「関係者の方ですか? 一緒にお乗りください」
僕は何が何だか分からないまま救急車に乗せられて、しばらく揺られることになった。
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