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教室に入っても、スーパースター河北真雪に人が集まった。聞くことはみんな同じようなことだが、やはりここでもちゃんと受け答えしてホームルームが始まるぎりぎりに着席することになった。僕らの席は窓際の一番後ろで、僕の右隣に真雪がいる。
「まさか囲まれると思わなかった。久しぶりの登校って結構大変だな」
「まあ、真雪は有名人だからね」
「あとで部の人たちに挨拶しに行かねえと」
「ホームルーム終わったら職員室に行くんでしょ。先生に呼ばれてたじゃん」
「あれ、そうだっけ。知らない先生だから忘れてたぜ」
「もう、しっかりしてよ。復帰初日でこれじゃああとが心配……」
ん、となった。言葉を出した後で、よくよく真雪の言葉を咀嚼した。
聞き間違い、なのだろうか。
「真雪、今、なんて言った?」
「え、『忘れてた』」
「違う、その前」
「『知らない先生だから』?」
――聞き間違いではなかった。
担任の森山先生を『知らない先生』と言ったのだ。
しかし、そのことを尋ねる前に森山先生が教室に入ってきた。隣を見ると、特に何の変わった様子もなく、ただ教壇に立つ先生を見ていた。
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