第2章 全ての始まり

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教室に入っても、スーパースター河北真雪に人が集まった。聞くことはみんな同じようなことだが、やはりここでもちゃんと受け答えしてホームルームが始まるぎりぎりに着席することになった。僕らの席は窓際の一番後ろで、僕の右隣に真雪がいる。 「まさか囲まれると思わなかった。久しぶりの登校って結構大変だな」 「まあ、真雪は有名人だからね」 「あとで部の人たちに挨拶しに行かねえと」 「ホームルーム終わったら職員室に行くんでしょ。先生に呼ばれてたじゃん」 「あれ、そうだっけ。知らない先生だから忘れてたぜ」 「もう、しっかりしてよ。復帰初日でこれじゃああとが心配……」  ん、となった。言葉を出した後で、よくよく真雪の言葉を咀嚼(そしゃく)した。  聞き間違い、なのだろうか。 「真雪、今、なんて言った?」 「え、『忘れてた』」 「違う、その前」 「『知らない先生だから』?」  ――聞き間違いではなかった。  担任の森山先生を『知らない先生』と言ったのだ。  しかし、そのことを尋ねる前に森山先生が教室に入ってきた。隣を見ると、特に何の変わった様子もなく、ただ教壇に立つ先生を見ていた。
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