1人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒローインという名の依頼人の下の娘だ。下の、ということは上の娘がいる。いや、いた、なのか。
「おふたりが仲違いするなんて、つらいです」
ドラゴンの花嫁として差し出された姉を助けるために勝手についてきた。
はっきり言ってこういう女は邪魔だ。家でおとなしく待っているのも闘いだと思わないのか。
「大丈夫、お姉さんはかならず助ける」
少女の頭をポンポン叩くネッケ。
微笑みが戻る少女。
「ということだ、ショージィ」
どういうことかサッパリわからない。
「早くしないとヒローインの姉さんはドラゴンに食われてしまうんだ」
それもひとつの事実ではある。
「だが確実にドラゴンを仕留めるにはバズーカ砲が必要だとわかっただろ」
彼女の姉を助けることは依頼ではある。しかし、事態はもっと深刻だった。
そのドラゴンは、ただのドラゴンではなかった。
確実に倒さないと、この世界は木っ端微塵になる。
それを知ってなお、ネッケは無茶をすることが正しいと言うのか。
「ショージィは、世界とヒローインのお姉さんと比べたら、世界の方が重いと言うんだよな」
そういう言い方をするよな、子供の頃から。おれはそのたび舌打ちをこらえてきた。
「俺は違うと思うんだ。秤になんかかけられない。両方救う」
最初のコメントを投稿しよう!