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褒められている気がまったくしない。おれは命の恩人なんだろ?
「彼女のお姉さんはどうなった」
「生きてたよ」
そのあとをなかなか喋ろうとしないところから。あらすじが読める。そういう男でもある。
「生きてはいたが、彼女の目の前で死んだんだな」
それぐらいのトラウマが与えられてのいまの彼女なんだろう。
「いちどは助けたんだ。だけどヒローインをかばって」
ドラゴンの牙に胴体をまっぷたつにされ食われた。
「私のせいでお姉さんは死んだの。カイリキーさんもボ?ヨンさんも。頭が割れて、内臓が飛び出して」
ベッドのうえのお姫様が悲鳴をあげはじめた。
「ヒローイン、もう終わったんだ、大丈夫だ、俺はここにいるから」
どんな困難に遭ってもネッケはネッケのままだ。
「私だけ生き残って……」
「ちがう俺もいる、俺は燃える戦車のネッケ! ここにいるぞ!」
左手で彼女の手をかたく握る。
「ネッケ、生きていたの?」
彼女の意識は戻ったり遠ざかったり。
「ヒローインが生きていてくれた。俺はこんな体になっても死ななくてよかったと心から思える」
「ネッケ……ネッケ。ほんとうにあなたなのね」
ネッケの生存が明らかになったいま。彼女の瞳は明るさを取り戻していくのかもしれない。
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