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深夜―――
地下駐車場の静まり返った暗闇に、いきなり車のエンジン音が鳴り響く。
そしてヘッドライトが点った次の瞬間、その中に人影が浮かび上がり、それに気づいた高支那がどこか冷めたように目を細め車を降りる。
そこには私服のタケルが立っていて、近づく高支那をきつく睨み上げていた。
「こんな夜遅くどこ行くんだよ」
目の前の高支那を咎めるような口調で詰問するタケル。
しかし高支那は無言で見据えるだけで言葉を発する様子はまったくない。その底冷えするほどの威圧感にタケルは思わず身を引く。
だが逃がさまいと素早く伸びてきた高支那の手が荒々しくタケルの腕を掴む。
「――ッ…」
思った以上の強い力に僅かに苦痛の表情を見せるタケル。
高支那を問い詰めるはずが、逆に捕われてしまったような感覚に陥ったタケルは、それを振り払うように改めて鋭い眼差しを高支那に向けるのだった。
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