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高支那の表情からはその真意は読み取れない。何を考えているのかまるでわからない。
それだけに苛立ちを隠せないタケルだった。
「離せよ!!」
思わず声を荒げ、渾身の力でその手を振りほどく。
だが高支那は表情を変えることなく、再びタケルを捕らえると乱暴とも言える強引さで車の助手席へと放り込んだのだった。
その後高支那も運転席に乗り込むと車はすぐに走り出す。
しばらく無言状態が続く車内。
タケルは気まずいように高支那の方をチラリと盗み見る。その顔は相変わらずのクールフェイスで、決して崩れることはない。
むしろ顔立ちが端正なだけにどこか背筋を寒くさせるものがある。それゆえの緊張感さえ走る。
助手席のドアに張り付くようにして身を硬くしていたタケルだったが、あまりの気まずさに堪らず言葉を発しようとした、その時…
高支那がそれを遮るように静かに口を開いた。
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