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「じゃあ、運んで」
そう言っておぼんを差し出した親父に向かってコクリとうなずいた後、俺はそのソーダを慎重にドアの前まで運んだ。
本棚から一冊の本を抜き取り小脇に抱えた後、再び扉をスライドさせると雅美さんははっとこちらを見つめた。
「できました」
そう言って二人の前にソーダを並べると、詩織ちゃんは目を輝かせた。
「わー!きれい。青いジュースだね」
ニコニコとそう言った彼女に、雅美さんは複雑な表情を浮かべ
「そうね……」
と微笑んだ。
「あの、本当にいいんですか。詩織ちゃんにまで……」
思わず俺はそんな言葉をかけた。
「この子のためなんです」
そう言って雅美さんが詩織ちゃんの頭を撫でると、詩織ちゃんは
「ママ、アイス溶けちゃうから飲んでも良い?」
と首を傾げた。
俺は、その言葉をきっかけに扉を内側から閉めると
「必ず誰か一人が立ち会うことになっています。今日は俺が」
と返した。
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