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〇4人の戦士
1999年7月7日。16歳、夏。
俺は今、人生最大のピンチを迎えている。
「子供を人質にとるなんて卑怯だぞ!」
「そうだ!今すぐその子を解放しろ」
「今、助けるからね!」
浴びせられる言葉に戸惑いながら視線を下に移すと、足を震わせながら俺の前に必死に立つ女の子が一人……。
目に大粒の涙なんて浮かべて、実に悲劇的だ。
どうしてこんなことになってしまったのか。
ちらりと横を見ると、握りこぶしを作り俺をにらみつける子供たち。
正面には子供たちの期待を一身に背負った戦隊ヒーロー、ミルキーレンジャーのレッド・ブルー・ピンクの3人。
そして俺はというと、そんなミルキーレンジャー最大の敵・ブラッキーホールに扮装して彼らをにらみつけている。
つまり現在ここにいるすべての人にとって俺が敵だという事実自体は、何の問題もない。
だがしかし、問題は目の前に立ちはだかるこの女の子だ。
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