②東京~雨上がりの日曜日~

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ところがその時、 わたしが油断して目を離したせいでは決してないだろうが、 隣のベンチから悲鳴が上がった。 どうやら、 幼い妹がお菓子を落としてしまったらしい。 彼女の泣き声たるや……。 それはもう真夏のセミたちでさえ裸足で逃げ出してしまいそうなほどだ。 わたしは頭痛すら感じながら、 彼らの方を見た。いささか、鋭い視線になってしまっていただろうが、 どうか許してほしい。
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