②東京~雨上がりの日曜日~

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おや……? と思った。 どうせ、兄の方は困り果てているだろうと思っていたのだが、 意外にも、彼は仏頂面で、泣きじゃくる妹を見下ろしていた。 彼はこの時何を思っていたのだろう。 わたしには知る余地もないことだが、 その小さな心は、ゆれて、ゆがんで、ふたつに分かれ、 またひとつになって、 ほとんど崩れてしまいそうな、 やわらかい、愛を生み出した。
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