dilemma

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「ごめん、、、また乱暴にするとこだった」 何に耐えてるのかわからないような息使いは とにかく僕を抱きしめることで緩和させているように思えた 匡哉さん、、、痩せた、、、 仕事をしながら有鉗さんの付き添いをして、 有鉗さんの仕事も引き受け、 事故とともに契約を解除されてしまう紅羽のパテルになりたいと、難色を示す倉木先生との交渉もしている そして毎日の僕の世話に加え、イスファに移籍させたいお母さんとのやりとりも続いていた 全てが匡哉さん一人にのしかかってる けれどそのどれも手を抜かない、何事も人に任せない匡哉さんが精神的にも身体的にも抱えるものは飽和状態だ 「元気な蓮に触れたかっただけなんだ。 なんか、、、生きてるのを確かめたくて」 「匡哉さん、、、」 「毎日、、、寂しい思いをさせてるな」 やっと少しだけ顔をあげてくれたから、暗闇に慣れた目でその表情を窺うことができた 「大丈夫だよ。 そんな事より、この家の事ぐらい僕が全部するから任せてよ。 でないと匡哉さん、身体壊しちゃうよ」 少し落ち着いた匡哉さんは僕の頭を撫で回し、 自分の髪もかきあげた 僕の言葉は素通りして、天井を見つめる 「悠人の奴、、、目を覚まさないんだけど時々目蓋が動くんだ。 担当医に言ったらさ、話しかけろって言うんだよな、、、」 「うん」 「だからなるべく側にいて、べらべらしゃべってやろうと思ってさ」 「そうしてあげて。 僕、寂しいなんて思わないから」 僕から匡哉さんに身体を押し付けた 「蓮の事、本当に大切に思ってる。 愛しているんだよ」 「わかってる。、、、わかってるよ、匡哉さん」
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