優等生

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ルーンヌィ バレエスクール 聖ルシアン中高等学校に併設されたプロのバレエダンサーを養成する特別な施設 早朝のレッスンフロアの扉を解錠し、晴れた日は窓を開け放つのが、ここのレッスン生、蓮の日課だった 同じ敷地内にある寮棟から、他のレッスン生達がやって来る前に天井ライトのスイッチを入れ、タオルを濡らし、畳んで床に数枚並べる 掲示板を確認し、オーディションや講習の申し込み期限が過ぎた掲示物を取り去り、預かってきた新たなものを貼る それらを手際良く済ませていくうちに、フロアにやって来た生徒達を迎え、出席をチェックしていく 戸口に立つ蓮に、 「おはようございます」 下級生からは先に声をかけられ、 「おはよう」 と、蓮が返す 上級生には 「おはようございます」 と蓮の方から声をかける 大抵は 「おはよう」 と笑顔と共に返事が返ってはくるが、 前日オーディションに落ちたり、つけられた役が気に入らなかったり、コンクール出場が決まらなかったり、或いは、、、ただの不機嫌であったりと様々な個人的理由で目も合わせず、 「はよ」 と言われる時も、或いは無視されたりすることもある 中でも 『パテル』 (このパテル制度はルーンヌィバレエスクールの最大の特長である為、後述する必要がある)がなかなかつかなかったり、下級生やライバルが先にパテルによって選ばれたりすれば、それは大いに不機嫌や八つ当たりの元となる
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